asagao5-11’s diary

300~600字程度で、昔の記憶を記録する

< お姉さん、お元気? >

 母の小学生時代の同級生の一人が歯医者さんをしていた。その歯

医者には家族全員40年以上お世話になった。腕も良く、物静かな

先生で安心して治療に専念できた。

この歯医者の受付のおばさまは先生の奥様ではなかったが、いいこ

とが書けないくらい“愛想がない” “お局のような” “クセがある”

“好感がもてない” “ちょっとつっけんどん”等、個性的は方だった。

でも悪い人ではない。

 家族皆で「受付のおばさん、いくつくらいだろうね?」といつも

話題になるが誰もわからない。年齢不詳のままだ。

 電話予約の際、通常であれば「もしもし〇〇歯科でございます」

と言うが、このおばさんは「はい!!」の一言。“はい” じゃない

でしょ!!自宅じゃないんだからとつい思ってしまう。

私は毎回「〇〇歯科さんですか?」と言うと、受付のおばさんは「

はいそうです」と返してくる。この言い方は40年以上変わらなか

った。

 私の妹はハキハキ物を言うタイプで行動も早い。私はのんびり屋

で  “うさぎとかめ”で例えるなら “かめ”タイプである。妹はハキハキ

と受付のおばさんと話しているようで、私が行くと受付のおばさん

は「先週、お姉さん来たわよ!」と言われ、私は「私が兄なんでけ

ど」と。受付のおばさんは「あらっ!そうなの?ごめなさい、どう

みてもお姉さんっぽいしハキハキしているからてっきりあなたが弟

さんだと思っていたわ!」

 これで次回から大丈夫だと思っていたが、次もその次もまたまた

その次も“弟”で、受付のばばあは「お姉さん、お元気?最近お忙し

いようで来られないわよ」と言われ、結局閉院するまで私は一度も

“兄”にならず弟のままだった。