asagao5-11’s diary

300~600字程度で、昔の記憶を記録する

〈 新聞配達 〉

夏のラジオ体操が始まる前のまだ早い時間帯、数段飛ばしで団地の5階までかけ上がるお兄さんをよく見かけた。
自転車の荷台には大量の新聞、スタンドをかけるだけでも重さで不安定なのに素早くかける。
そして必要な部数を取って、吐息と汗を飛ばしながら足音はバタバタではなく、軽やかに、フワッと跳躍を活かした二段跳びだった。
幼少時の私には、その素早さを見て"忍者"みたいと思った。「もう4階?はえ~‼️」無駄な動きはない。どこのお宅に投函するかもすでに把握済み。
夕刊は5階まで上がることなく、1階の集合ポストに入れるだけ。
朝の張り詰めた緊張感はなく、時々楽しそうに住人のおばさんと談笑している姿もあった。
夕刊に多いことだが、"手渡し"で受け取った時の紙の匂いがなんとも言えずホッとする。
自分一人では到底集めきれないその日の新鮮な情報が「今、来た❗️」と思う瞬間がとても好きだ。