< 箸を忘れた味 >
私:「あ~、また忘れた箸!」自分に嫌気がさす。
母:「お弁当、作るまでしたんだから、後は自分で箸入れてナフキ
ンに包んで持っていってよ!」と言われていた。
母は私が中学高校と6年間も毎朝5時に起きて、自分の仕事がある
なしにかかわらず、お弁当を作ってくれた。感謝しかない。
朝は何かと忙しい。箸を忘れたり、箸を入れたのに玄関にお弁当を
忘れてしまい、母に「忘れ物~!!」と叫んで家まで戻ったりする
ことも多々あった。
学校のお昼のチャイムが鳴る。待ってましたと言わんばかりに鞄
からお弁当を出す。
「あ~!!箸がない~!ショック!また忘れた~」
「なんで箸入ってないんだ~!入れておいてよー」と
声小さくブツブツ言っていた。自業自得だ。
そしていつも登場するのが、長い鉛筆だ。筆箱からHB2本を取出
して、尖っている先は“芯”の味がするので、逆側の平らになっている
ほうを使う。それでも鉛筆の味がした。鉛筆の材料は、調べてみると
“芯の材料は粘土と黒鉛”、そして周りは木は“インセンスシダーという
木”だそうだ。おいしい材料は一つもない。
周囲の友達は「また箸忘れて鉛筆で食べてる~」と言われる始末。
とても“苦い”思い出である。