asagao5-11’s diary

300~600字程度で、昔の記憶を記録する

< 祖父母を肩車 >

 父方の祖父母は明治末期生まれ。祖父は身長180cmで当時と

してはずば抜けて高い。祖母は逆に140cm台と小柄でかわいら

しい。祖父には幼少時、よく“肩車”をしてもらった。見晴らし

は大変良く、ゆうに2mは越えていたが家の鴨居によくおでこを

ぶつけて泣いていた記憶がある。

 実家の元自分の部屋を整理していた時のことであった。3枚

の未使用タオルを発見した。“〇〇堂”と書かれていた。昭和35

年くらいから昭和末期まで祖父母が東京で経営していた街の印

刷屋である。

屋号と電話番号の下に「A」と「Y」と書かれ、私と妹の名前の

頭文字が残っていた。父は「ケンカしないようにしたんだな」

とボソッと言った。「どうしてタオルを作ったのかな?」と父

に聞いたら、「印刷屋が軌道に乗ったから一発奮起でネイム入

りタオルを作ったんじゃないか」と言っていた。

 祖父母が亡くなって30年くらいになるが、私はまだタオルに

魂があると思った。お守りと思って鞄に入れている。

 私は汗かきだ。初夏になるとポロシャツの首下にタオルをい

つも巻く。3時間程で結構汗が染みて濡れている。

祖父母のタオルを巻いた時、「あっ!今度は私が祖父母を肩車

」と思った。だいぶ軽いが。

 夏は毎度お世話になる「〇〇堂タオル」。いつも祖父母と私

は一緒。支えてもらっているような気がして安心する。