asagao5-11’s diary

300~600字程度で、昔の記憶を記録する

< 手を洗うとき思い出す目線 >

 < 手を洗うとき思い出す目線 >

 

 母が「外から帰ってきたら!?」

私は「手を洗う」と言う。

私の年齢は4歳か5歳か。

父と洗面所へ行く。先に父が手を洗う。父の両手を下から覗き込む。

石鹸でくまなく洗う。大きくて分厚い手だ。

そして私の番、しかし両手を差し出しても洗面台が高くて洗えない。

父は私を抱えながら、もしくは風呂の椅子を持ってきてその上に立

たせてから洗う。

妹は完全に父に脇を抱えられ洗っていた。洗うというより濡らして

いた。毎度なにかブツブツ言いながら水遊びをしている。

 先日、85歳の父と散歩に行った。歩く速度がゆっくりになって

いた。帰宅後、洗面所へ。久しぶりに父の手の洗い方を当時の子供

目線でしゃがんで見た。変わっていない。変わったのは手のシワが

多くなったことかな。そして父の目線と同じ目線で父の手を見た。

父はおじいちゃんになっていた。