< 駅そばの味の記憶 >
30年程前の記憶である。
家に帰るまで我慢できない。腹が空いた。軽くでもいいから何か
食べて帰りたい。
入り、天ぷらそばを注文。できあがりの声がかかった。待って
ました!
まず、つゆをすする。「ん? ん?!」なんじゃこりゃ?!
つゆが薄い!何かの間違いか?もう一度すする、やはり薄い。店員
に言おうと思ったが、母の言葉を思い出した。「東京の味は濃い、
大阪は薄口よ あんたは東京育ちだから濃い口に慣れているのよ」
その通りだった。あまりに薄いので、醤油を2~3周かけた。
薄口天ぷらそばだけでは足らず、いなりを追加した。どうにか夕食
までの足しにはなった。